矢吹咲子のひとりごと

ひとりごとこそおもしろい

2022-01-01から1年間の記事一覧

黄色

月、星、バナナ、レモン。ピカチュウ、ふなっしー、たんぽぽ、ひまわり。 CAVI(キャビ)という血管年齢を調べられる検査がある。上腕と足首にカフを巻いて測定するとき、正確に測定されているか、4段階で判定している。 赤、黄、黄緑、緑。黄色のときは巻き直…

情報

アーケードの角にあるエスカレーターを下っていくと、クラクションが鳴り響いているような空間に出る。 八百屋、魚屋、肉屋、テイクアウトのアイスクリーム店、立ち食い蕎麦、雑貨店、ドラッグストアがパズルのピースのように隙間なくはまり、整然と並んでい…

文具店

商店街の一角に、昔ながらの小さな文具店がある。 いつでも賑わっている商店街。古いお店が閉店しては新しいお店ができ、テナント募集の貼り紙も所々に見かける街。 またすぐに、流行りの洗練された新しいお店ができるんだろうなと、新店に興味がありつつも…

日記

知らない人の日記を心ゆくまで読みたくなるときがある。 このようにネット上にあがっているものは、星の数ほどある日記から見つけられれば読むことはできる。(それでも出逢わなければ読めないけれど) しかし、手帳やノートに手書きで日記をつけている人のも…

栗のパフェ

フルーツは宝石のようにキラキラしている。 赤、黄、白、オレンジ、黄緑色。色とりどりな透き通ったキューブ状の結晶は、五感を喜ばせてくれる。 私はフルーツを愛している。 フルーツを求めるときは、身体と心が強張っているときが多い。 良いときと悪いと…

ショパンのノクターン8番

今日から7月。都内は最高気温が37度ととても暑い。体温を超えている。「暑い」という形容詞は37度で使うのは間違っている気がする。30度くらいが、適切な暑いという使い方(だと思っている)。だから、この時代に合った新たな形容詞が生まれてもよさそうだ。 3…

ブラインドタッチ

楽譜を見ながらピアノを弾くことが苦手だ。いや、苦手というよりできない。 そのため、初見演奏はもちろんのこと、譜面を見なければ止まらず音ミスもなく弾ける曲も、鍵盤を見ないとなると、歩き始めの幼児のようになる。 なかなか弾けるようにならない。何…

ゆっくり

ゆっくりが苦手だ。 ゆっくり歩く。ゆっくり食べる。ゆっくり話す。ゆっくり仕事をする。 動作をゆっくりにしていくと、身体から無駄な力がとれるらしい。 身体の力を抜いて、脱力して。私はどうやら脱力が苦手のようだ。力を抜いているつもりでも客観的には…

視力

目が悪い。おそらく裸眼の視力は0.04くらいだと思う。昨年メガネを変えたときは、さらに度を強くしたなぁと強烈にわかるくらいだったのに、今そのメガネをかけていると、もう少しよく見えてもよかったのではないかと思ってしまう。 そのくらい視力が落ちたっ…

おすすめ

今月のおすすめコーヒーを注文した。 商業施設の地下一階にある隠れ家のような喫茶店。ずらりと美しいコーヒーカップが棚に並べられている。洒落たカップをみてもどこのブランドのものなのかさっぱりわからない。 おすすめコーヒーは、エルサルバドルだった…

雨戸

朝は晴れていたけれど、不安定な天気のため出勤するために念のため雨戸を閉めてから家を出た。昼間は雷がなったりバケツをひっくり返したような土砂降りの雨だったりしたけれど、雹が降ることはなかった。雹は莫大なエネルギーを持って地上に猛獣のように襲…

ヤマメ

ヤマメとイワナは同じだの違うだのという話になった。ヤマメとイワナはどちらも冷たい川に生息し、渓流釣りの定番だ。川魚は全体的に灰色がかった色をしていると認識している。あまりにも抽象的でアバウトだけれど。 ヤマメとイワナは違うというのが結論だ。…

計量スプーン

計量スプーンを開発したのは香川綾さんだという。計量カップも同様だ。 100年ほど前は料理というものは、だいたいこれくらい、調味料はほどほど、という文脈で成立していた。家庭によって同じ料理を作ったとしても味が違う。同じ具材を使ったとしても大きさ…

カレンダー

月末になると、帰り際に検査室のカレンダーを何枚も捲る。明日の準備のためだ。 予定を書き込みやすい大きなカレンダー、美しい世界の風景写真が載っているカレンダー、メーカーの可愛いマスコットキャラクターが描かれた小さな卓上カレンダー。 カレンダー…

ランニング

2年前にリニューアルされた近所にある公園は、走る環境にうってつけだ。 サッカーや野球ができる多目的運動場と、陸上競技の300mトラックの周りをランナーたちは各々のペースで走っている。 運動を何年もしていない私は、身体を動かさなきゃなと、健康に対し…

カフェ

大きなターミナル駅から歩いて5分もしないところに、くつろげるカフェがある。 隣の大型百貨店とカフェの境には目隠しのための庭木が植えられているからか、小さな路地にあるカフェは自然に守られているかのような佇まいだ。都会の中にある小さなオアシス。 …

初対面

社会に出ている以上、初対面の場合の方が多いのに未だに人と会う時は緊張してしまう。 鼓動が早くなり、沈黙が怖くなる。親しみやすさを演じ、話題を振ったり自己開示をしたりする。 いかにも和んでますよ、打ち解けていますよという空気を纏って、肩の力が…

ガリバタ

漫画「きのう何食べた」の中に鱈のガリバタが載っている。 鱈でなくてもぶり、鮭、めかじきでも美味しくできるそう。だいぶ前に淡白な鱈で作ったきりバター照り焼きを食べていなかった。簡単にできて間違いなくおいしいからまた食べたいと思い立ち、スーパー…

小銭

ベットに横になるよう促すと、おじいさんのズボンのポケットの中からいくつかの硬貨が飛び出す。検査が終わって起きてもらうと、真っ白のベットの上に金銀の鋭く光る硬貨が散らばっている。 お金は財布に入れずにポケットに直に入れる。財布に入れるお金とす…

早寝

毎日の寝る時間が決まっていない。 翌日が仕事の日は24時までには寝ようと意識しているのだけれど、明日が普通番だと思うと1時頃までは起きていることもある。寝られなくても、翌朝に影響はないと身体も心も理解している。 仕事には早番と普通番がある。その…

お弁当

お弁当を忘れた。朝余裕をもって起きて、お弁当箱におかずを詰めてランチバックにお箸と共に入れ、保冷剤まで入れたのに、忘れた。 帰宅したら玄関脇にランチバックが目立つように置かれていた。忘れないようにドアのすぐ近くに置いたのに、意味がなかった。…

チーズケーキ

ふとしたときに「勇気を出す練習」をすることがある。 何が起こるかわからないご時世、明日予想もしていなかったことが我が身に降り掛かってくるかもしれない。生きていくためには、その場で即決即断をしなければいけないことが多すぎる。状況を的確に把握し…

小学校

日曜日に正門から堂々と小学校に入っている。 新しく建てられたばかりの小学校。真っ白な校舎と整備された人工芝のグラウンドが、陽の光を反射して輝いている。 土の上を裸足で駆け回るような運動場と違い、芝生のグラウンドはどことなく格式高い晩餐会を彷…

ポッキンアイス

細長いチューブに入ったジュースを凍らせて食べるポッキンアイス。真ん中がくびれていて、そこで2つにポキッと割れるからポッキンアイス。チューペットや棒ジュースと言ったりもするらしい。 ポッキンアイスは夏の風物詩だ。アスファルトを焦がすような灼熱…

ボディクリーム

毎日顔に化粧水と乳液は塗るにしても、全身に乳液を塗ることはない。乾燥がひどいときとか、肌がSOSを発信しているときとか、応急処置が必要となったときの蘇生として塗るだけ。 全身用乳液。顔だけじゃなくて、全身。ボディクリームを塗るときは、自然と目…

花瓶

黄色い花瓶を二階の窓から毎日眺めている。 底は幅広いけれど、口から首にかけては細い枝一本しか入らないくらいの狭い通り道になっている。丸底フラスコに似ているけれど、フラスコよりも上から半分はもっと細い。 そのビビットカラーで大ぶりの花瓶は、他…

バックヤード

従業員専用とか関係者以外立ち入り禁止とか、そこで働いているスタッフしか入ることのできない場所がある。このような表示の扉をみると、一歩先に進んでみたい衝動にかられる。 たった扉一枚隔てただけで、キャストかゲストかの区別がされる。あれ、キャスト…

本屋さん

本屋さんになりたい。私の将来の夢だった。5歳児の女の子のなりたい職業は、お花屋さんか、ケーキ屋さんか、本屋さんだったと思う。私の通っていた幼稚園に限るけれど。 お花は綺麗だから、花壇に囲まれお花に水やりをして、鮮やかな空間に溶け込んでお仕事…

折込チラシ

毎朝届く新聞の中に、たくさんのチラシが入っている。同時に夕刊も、何食わぬ顔をして朝刊と一緒にいる。新聞配達屋さんは、一日に二度も山間の小さな集落には来てくれないのだ。 早朝に届く夕刊は、前日の日付のものだ。朝刊だってほとんど読まないのに、夕…

ミートソーススパゲッティ

夕飯の献立に度々登場するものに、「スパゲッティ」があった。 スパゲッティとは、小麦粉でできた細長い麺を茹でた上に、ひき肉とケチャップで作ったソースをのっけたものだった。細長い麺は、シャープペンシルの芯よりは太く、HBの鉛筆よりは細い。給食で出…